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リウマチ性多発性筋痛症の方へ

リウマチ性多発性筋痛症(polymyalgia rheumatic:PMR)、1990年代まで日本では稀とされ高齢発症の慢性関節リウマチと考えられていた時期もありますが最近ではその診断基準に照らし合わせて一般内科、整形外科で診断の上治療がなされることも多くなりました。外国の統計では、生涯にこの疾患に罹患する方は2%程度いると推定され(参考1)、関節リウマチなどのほかの炎症性関節障害より頻度が高い可能性が指摘されています。

リウマチ性多発性筋痛症の特徴

  • 50歳以上
  • 朝のこわばり
  • 急激に出現した臀部・太もも・肩・上腕の痛み
  • 血液検査での強い炎症所見
  • 鬱(元気がなくなる)状態

リウマチ性多発性筋痛症は、上記のような症状を特徴とします。2012年に米国と欧州のリウマチ学会が共同で診断基準を設けています(参考2)が特徴的な検査がないため関節リウマチ、脊椎関節炎、結晶形成をする関節炎(ピロリン酸カルシウム沈着症、痛風、偽痛風など)、SLE(全身性エリテマトーデス)、MCTD(混合性結合組織痛)などの膠原病、血管炎、炎症性筋疾患、感染症、整形外科的な加齢などによる疼痛などを念頭にこの疾患であるかどうかを見極めなくてはなりません。

診断する上で注意が必要なこと

上記の病気を細かく鑑別(その病気でないかどうか、一つ一つデータ、症状などから区別していくこと)しますが一般的に問題となるのは関節破壊の進む関節リウマチと、高齢発症の脊椎関節症、そして悪性腫瘍、つまりがんです。

関節リウマチや脊椎関節症は実際には治療を開始してからでも評価・診断はできますが、一番の問題はがんに合併してこのPMRに類似した筋肉痛を呈することがあることです。実際当院でもPMRに似た症状で来院された方のうち、1割程度の方にがんが見つかります。

リウマチ性多発性筋痛症の原因

原因は全く不明です。遺伝子的な特徴もあまりはっきりしません。おきていることは、関節の周囲の組織の炎症と限局した筋肉の中の炎症性サイトカインの増加がある(参考3)といわれています。

また見方を変えると(加齢による)脳下垂体-視床下部-副腎皮質系の障害があり結果的に副腎皮質ホルモンの分泌が減少していることが要因となる(参考4)との報告もあります。

リウマチ性多発性筋痛症の治療

激しい痛みも鬱症状も副腎皮質ホルモンを一日あたりプレドニン15mg内服することで著効を示します。検査結果も数週間で改善します。

しかし、この病気になられる方はほとんどが高齢者であることから、骨そしょう症、糖尿病などの代謝性疾患、高血圧などの副作用が多くの方にみられます。最初の痛みは劇的に改善しますが、問題はその副腎皮質ホルモンを減量すると再発することがかなりみられ、1年間経過した方でプレドニン5mg以上を内服している方が半分程度みられることが報告されています。

長期にプレドニンを漫然と飲むことはもちろん良いことではありませんので、私たちも減量プランをきっちり立てて治療をしますが当院でもやはり中止できる方は少なく、再発を繰り返す方は副腎皮質ホルモンの投与量を減らすために抗リウマチ薬を併用することが少なくありません。

いわゆる痛み止め(非ステロイド性消炎鎮痛剤:ロキソニン、ボルタレンなど)は無効であり年齢的に腎臓機能障害、消化性潰瘍の危険性も高いため使いません。

リウマチ性多発性筋痛症の診断のために

まずは専門的に診察を受けていただき検査結果などを多方面から評価します。また実際には診断的治療と称してプレドニン15mgを内服してもらい3日程度で改善すればPMRである可能性が極めて高いといわれます。しかし、早期の関節リウマチや脊椎関節症もある程度疼痛が改善しますし困ったことにがんによるPMRに似た筋肉痛もある程度疼痛が改善することもあります。

エコーなどでの検査も補助的には有効ですが、最近当院ではがんの検出にも有用で脊椎関節症のところでも述べたようにフルオロデオキシグルコースを使ったPET(positron emission tomography)による関節周囲の炎症の評価が、鑑別に大変有効と判断(参考5)しています。

PET検査はリウマチ性疾患に対しての保険適応がないため自費診療となりますが山梨PET画像診断クリニックにて実施可能です。

10万円程度の自費診療となりますが、がんによる症状、脊椎関節症との鑑別のために可能な方には検査を受けることをお勧めしています。

当院でのリウマチ性多発性筋痛の治療

最初はプレドニン15mgから開始、4週目より2.5mgずつ減量、10mgからは1mgずつ減量します。再燃した場合、少量タクロリムスかメトトレキサート製剤を併用します。保険適応になっていないため自費診療となる可能性がありますが抗IL6受容体にたいする抗体治療(アクテムラ)も有効な方がいます。

プレドニンはほとんどの方で半年以上の内服が必要になるため、骨そしょう症にたいする治療としてビスフォスフォネート製剤は積極的に服用(参考6)をしていただきます。糖尿病・肥満といった代謝性の異常を引き起こさないためにかなり厳格な食事指導(簡単に言えば食べ過ぎるなということです)を意識していただき、緑内障・白内障評価のため眼科も受診されると良いと思います。消化管検索もおすすめします。こういった予防的な対応によりほとんどの方はプレドニンがやや多くても通常の生活ができます。プレドニンの減量はMMP-3 という検査を指標に計画的に行います。簡単に申し上げれば慌てて減量するとうまくいきません。また一端再燃するとその後減量が難しくなることもあります。

治療方針は痛みのない生活を提供することと考えています。プレドニンの内服も不必要に多く飲ませることは致しません。炎症所見が高くても疼痛がなければ減量できることもあります。少し鈍感になりながら痛みのない生活を送っていただけるように最善の努力を致します。リウマチ性多発性筋痛症といわれた方、血液検査で強い炎症が有り関節というより筋肉が痛くて元気のなくなった方、当院でのリウマチ性疾患評価をおすすめします。

参考

  1. Growson CS, Mattreson El, Myasodova E. et al The lifetime risk of adult-onset rheumatoid arthritis and other inflammatory autoimmune rheumatic diseases Arthritis Rheum 2011:63:633-639
  2. Dasgupta B, CimminoMA, Kremers HM, et al 2012 Provisional classification criteria for polymyalgia rheumatia: EULAR/ACR collaborative initiative. Arthritis Rheum 2012: 64: 943-54
  3. Kreiner F, Langberg H Increased muscle intestinal level of inflammatory cytokines in polymyalgia rheumatic Arthritis and Rheum 2010:62:3768-75
  4. Straub RH, Cutolo M Further evidence for insufficient hypothalamic-pituitary-glandular axes in polymyalgia rheumatic J Rheumatol. 2006:33:1219-23
  5. Blockmans D, De ceuninck L, Vanderschueren D et al Repetive 18-fluorodeoxyglucose positoron emission tomography in isolated polymyalgia rheumatica: a prospective study in 35 patients. Rheumatology 2007:46:672-77
  6. ステロイド性骨粗鬆症ガイドライン